

暑い8月、9月は、新築マンション市況も熱い
住宅ジャーナリスト櫻井幸雄
夏の期間、マンションの販売センターを訪れる人は減る、と考えられがち。暑い時期なので、モデルルームよりも海や山に出かける人が多いだろう、と。ところが、実際は夏の期間、来場者が増えるところが多い。
理由は、夏のボーナスが出た後で、頭金を確保できる人が多いから。また、長い休暇があり、モデルルームでもみてみるか、という人の存在もある。
来場者が増える時期なので、販売センターは冷房を効かせ、子ども向けのイベントも用意して待ち構える。「夏はマンション探しに向かない時期」とは言えない状況があるのだ。
加えて、今年の夏は、例年に増して、夏のマンション市況が盛り上がる理由がある。それは、夏から立ち上がる新規物件が多く、一方で、即入居可のマンションは消費税8%適用となる最後のチャンスになるから。注目物件が多いのだ。
消費税8%を狙うなら、期限は9月1日まで……
消費税率8%が適用になるのは、9月30日まで。といっても、住宅は「9月30日までに買えばよい」というわけにはいかない。住宅は契約時ではなく、入居時点の消費税率が適用されるためだ。
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、契約から入居までの期間が長く、1年から2年先になることがある。その場合、たとえ9月30日までに全額前払いしたとしても、消費税率は1年から2年先のものが適用される。つまり、消費税率10%になってしまうわけだ。
住宅の場合、特例として「2019年3月31日までに契約すれば、引き渡しが10月1日以降になっても、消費税率は8%」と定められていた。が、その特例期間はすでに終了している。だから、もう手遅れ……なのだが、マンションを「消費税8%適用」で買う手がひとつだけある。
それが、すでに建物が完成して「即入居可」となっているマンションを購入することだ。
「即入居可」のマンションを購入し、9月30日までに入居すれば、消費税率は8%が適用される。といっても、うかうかしてはいられない。新築分譲マンション購入時にはいろいろな手続があり、即入居可であっても、契約後すぐに入居できるわけではないからだ。住宅ローンを組んでマンションを買う場合は手続が多く、審査の期間を含めて1ヶ月程度の時間が必要。つまり、9月30日までに引き渡しを受けようとすれば、8月末まで、遅くとも9月1日の日曜日までに購入を決める必要がある。
消費税8%物件を狙っている人は9月1日まで、秋からの新規物件を狙っている人は早いスタートが大事。その間に挟まれた販売中マンションは競合物件に負けないように特典を付けることも……この夏は、マンション購入検討者にもホットな状況が生まれている。
バックナンバー
◇2022年冬〜春期【最新号】 | ◇ 2021年秋〜冬期 | 2021年夏〜秋期 | ◇ 2021年春〜夏期 | ◇ 2021年冬〜春期 | ◇ 2020年秋〜冬期 | ◇ 2020年夏〜秋期 | ◇ 2020年冬〜春期 | ◇ 2019年秋〜冬期 | ◇ 2019年夏〜秋期 | ◇ 2019年春〜夏期
住まいサーフィンレポートとは?
実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴
1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇オフィシャルサイト:
http://www.sakurai-yukio.com