住まいサーフィンレポート2021年冬-春期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&狙い目新築マンション

狙い目物件マップ 狙い目物件マップ

コロナ禍でも減らないマンション購入者。年度末は、購入の好機

住宅評論家 櫻井幸雄

コロナ禍で不安があるのに、マンション購入者は減らない

 コロナ禍でローン破綻の危険が増している、という記事を週刊誌やサイトの記事で見かけることが多くなった。

 その内容には眉唾なところが目立つ。たとえば、返済滞納が続いて競売決定のリスクが高まっているわけでもないのに、任意売却を行うなど、「任売(任意売却)」のことを分かっていないとおぼしき記事もある。

 競売のリスクが迫っていない状況でマイホームを売り出すのは、一般的な中古売却で、これは住宅ローンが残っていても可能……というより、多くの人は住宅ローンが残った状態でマイホームを売っている。

 また、ローン破綻数の増加データを示すことなく、「Aさんの場合」「Bさんの場合」と個別事例を挙げて、それが全体の傾向とするところにも無理がある。

 多くの人に警鐘を鳴らしたい、という親切心から書かれた記事なのだろうが、実情を反映しているとは思えない。

 実際、コロナ禍を経験しながらも、新築住宅の売れ行きは落ちていない。一部の専門家が言うように「バブル並に売れている」というのは、さすが大げさだと思うが、予想外に売れているのは事実だ。

 そこで、「こんな時期に、マイホームを買っていいの?」という気遣いをしてくれているのだろう。

 しかし、コロナ禍でボーナスが出なかったり、給料が減ること心配するなら、毎日の食費が出せるのかも不安だし、子供の教育費を払い続けることができるのかという心配も出てくる。そして、住宅に関しては、賃貸暮らしで家賃を払い続けることができるのか、という不安だってありそうだ。

賃貸暮らしには、住宅手当の打ち切り不安も

 持ち家と賃貸の場合、毎月、住宅に関する支出は「持ち家のほうが大きい」とは言い切れない。首都圏では、賃貸の家賃が結構高い。住宅ローン減税分を勘案すると、持ち家のほうが有利(支出は少ない)なケースもある。

 賃貸居住者には給与とは別に住宅手当があり、そのメリットが大きいという見方があるのだが、その住宅手当もコロナ禍による業績悪化が深刻化すれば、打ち切りの可能性もありそうだ。

 そのように考えてゆくと、コロナ禍の今、マイホームを買うことは必ずしも無謀とは言えない。超低金利のローンと、大型の住宅ローン減税を利用できることを考えれば、コロナ禍でも生活を守る選択といえそうだ。

コロナ禍でも新築マンションの購入者が減らない理由

 昭和の後期、首都圏の郊外エリアでは3000万円台、4000万円台で3LDKの新築マンションを購入できた。

 今より多少安い気がするが、当時、住宅ローンの金利が最低でも5%台と高かった。

 これに対し、現在、首都圏郊外の新築マンション3LDKは4000万円台のものが多い。住宅ローンの金利が実質1%を切る水準であることを考えると、30年前のほうがマンションは安かったとは言い切れない。

 住宅ローンの金利が1%前後であれば、3000万円借りても、毎月の返済額は9万円前後になるケースが多い。これに加えて、住宅ローン減税が大型化している恩恵も大きい。

 一方、家賃相場は昭和時代から上がり続け、都心への通勤時間が30分〜1時間圏の家賃は3DKで1.5倍から2倍に値上がりしている。

 超低金利で住宅ローン減税が大型になっている現在は、持ち家派のほうが、住居費において有利な面が多い。

 マイホーム購入者が減らないのは、無理もないわけだ。

1月〜3月が狙い目といえる理由

 新築マンションを購入する場合、不動産の世界では「1月から3月までが有利」とされている。その理由は、物件によっては特別サービスが期待できる時期であるからだ。

 3月は多くの不動産会社の年度末にあたり、1月から3月は売り上げを伸ばしたい時期。そのため、オプション設備や家具がサービスされ、場合によっては値引きも提示される可能性がある。

 前述したとおり、「新築マンションは予想以上に売れている」のだが、それは、「心配されたほど売れ行きは落ちていない」というニュアンスを含む表現。すべてのマンションが飛ぶように売れているわけではなく、当然ながらバブル並に売れているわけではない。物件によっては集客に苦労しているところもある。そんなマンションならば、サービスも大きくなる。

 1月〜3月はサービスのあるマンションを探すのも楽しみ。今、マイホーム探しをすることは決して無謀ではなく、むしろ得が大きい行為と言えるのである。

櫻井幸雄が探した狙い目マンション

2021年の冬から春にかけて購入可能なマンションのなかから、狙い目と評価される新築マンションを私の視点からピックアップした。

東京都23区の狙い目新築マンション

  • サンウッド神楽坂(東京都新宿区)

    サンウッド
    物件の写真

    「サンウッド神楽坂」は、今春販売開始予定の都心マンション。そして、昨年秋、建設地に看板を出しただけで、全31戸(販売されるのは28戸)に対し300件近い問い合わせが入った注目マンションでもある。注目度が高い理由は、都心のど真ん中に位置する立地であり、価格に納得感が大きい.........

  • アトラス築地(東京都中央区)

    旭化成不動産レジデンス
    物件の写真

    コロナ禍を経験し、再び注目度が上がっている都心駅近マンション。それは大手町や霞が関、虎ノ門などのビジネス街に、バスや自転車、歩いて通勤できる便利な立地のマンションだ。東京の中心地に立地するマンションならば、混雑する電車に乗る時間も短く済み、電車に乗らなくても済む人もいるだろう.........

  • シティタワーズ東京ベイ(東京都江東区)

    住友不動産
    物件の写真

    12月3日、関東最大級の「無印良品」がオープンしたことで、さらに注目度が上がった商業施設が「住友不動産 ショッピングシティ 有明ガーデン(以下、有明ガーデン)」。約200の店舗が集まり、湾岸エリアでは最大級の商業施設となるものだ。今回新たにオープンした「無印良品」は、モール&スパ.........

  • アトラス北品川(東京都品川区)

    旭化成不動産レジデンス
    物件の写真

    「アトラス北品川」の最寄り駅は、新馬場駅……といっても、その駅名を知らない人、さらには、駅名の読み方さえ分からない、という人も多いだろう。 「新馬場」は「しんばんば」と読み、京浜急行本線で品川駅から2駅目、所要時間2分の駅だ。各駅停車しか停まらない駅だが、その分.........

  • オーベルグランディオ平井(東京都江戸川区)

    大成有楽不動産
    物件の写真

    コロナ禍でマイホーム選びの基準が変わってきた。 多くの人が望むのは、「都心への通勤」で電車に乗っている時間が短い場所であり、緑や自然が身近な住環境が備わっていること、そして広い住戸を、余裕ある資金計画で購入できる価格帯の新築マンションーその条件を見事に満たして.........

  • シティテラス金町(東京都葛飾区)

    住友不動産
    物件の写真

    ウィズコロナで、注目を高めているのが、公園などの緑が身近で、しかも生活利便性が高く、都心への通勤が便利な場所のマンション。そして、ゆとりある広さの3LDKや4LDK……そのような条件を満たす新築マンションを山手線内側の超都心エリアで探すと、とんでもない価格になる。その点、山手線外.........

  • アトラス西日暮里道灌山(東京都荒川区)

    旭化成不動産レジデンス
    物件の写真

    コロナ禍で郊外のマンションや一戸建ての注目度が高まった、とされる。しかし、実際には、都心立地のマンションも注目度を高めている。それは、JR山手線内側の「純都心」部に住めば、通勤電車に乗る時間が短くて済み、場合によっては自転車や徒歩で通勤ができるから。安心であり、.........

  • シティテラス新小岩(東京都葛飾区)

    住友不動産
    物件の写真

    1月8日、新小岩駅近くで「シティテラス新小岩」の販売センターがグランドオープン。早速、そのモデルルームを見学したら、これが素晴らしかった。リビングと寝室の天井が床面から2m60㎝もある。リビングと寝室の天井が床面から2m60㎝もある。一般的な高さは2m40㎝なので、天井が20㎝高い.........

  • ライオンズ綾瀬セントマークス(東京都足立区)

    大京
    物件の写真

    「ライオンズ綾瀬セントマークス」は3月上旬から販売が始まる予定のマンションで、2月中旬にオンラインでプロジェクト発表会が行われることになっている。その前、1月の時点から資料請求が多く集まっている注目マンションであるため、急遽、このレポートで取り上げることにした。.........

千葉県の狙い目新築マンション

  • シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート(千葉県八千代市)

    住友不動産
    物件の写真

    緊急事態宣言の解除以降、販売センターへの来場者が昨年1月、2月の水準に戻った、というマンションが多い中、昨年1月、2月よりも来場者が増えているのではないか、と思われるのが「シティテラス八千代緑が丘ブリーズコート」。千葉県八千代市で、駅からグランドエントランスまで歩いて3分.........

茨城県の狙い目新築マンション

  • レ・ジェイドつくばStation Front(茨城県つくば市)

    日本エスコン
    物件の写真

    つくばエクスプレス・つくば駅の注目度が高まっている。 それは、「住環境のよい郊外だが、都心へのアクセスが意外なほどよい」ことと、「最先端の街づくりが行われている場所で、教育環境もよい」ことが理由。ウィズコロナで人気を高める地域の必要要素を備えていることで、人気がさらに.........

バックナンバー

2024
2023
2022
2021
2020
2019

住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供。
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目である新築マンションも紹介。マンション購入のアドバイスとする。

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

櫻井幸雄の顔写真

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。

オフィシャルサイト
http://www.sakurai-yukio.com