好調に売れ続けている新築分譲マンション。価格上昇の動きも心配に
住宅評論家 櫻井幸雄
コロナ禍でも売れ続けた新築分譲マンション
コロナ禍で、マンション価格が下がる、と言われ出したのは、2020年4月から。最初の緊急事態宣言が出され、新築マンション販売センターのほとんどが門を閉ざし、販売活動を停止した時期だ。
その様子をみて、「マンションが売れないから、閉鎖した」と勘違いしたニュースも流されたが、実際は緊急事態宣言に合わせて活動を自粛したものだ。
門は閉ざしたが、じつは活動は停止していなかった。緊急事態宣言が出る前から交渉していた検討者との商談をリモートで継続。細々と、ではあるが、マンションは売れ続けていたわけだ。
その後、緊急事態宣言が解除され、経済活動が徐々に再開された6月以降、新築分譲マンションの売れ行きも回復した。
最初は、「郊外で広く、安いマンション」が脚光を浴び、次いで「23区内で山手線外側に位置する準都心マンション」が注目する人も増えた。都心への通勤が再開されると、長時間、通勤電車に乗ることを嫌がる傾向が出て、乗車時間の短い準都心物件が売れ出したわけだ。
といっても、23区内の新築分譲マンションは山手線外側でも、価格は高い。そこで、少しでも安い物件を買おうと、「23区内・山手線外側」で「駅から歩いて10分以上」のマンションが高人気になる、という現象も出た。
「歩く時間は多少長くなってもよい。電車に乗る時間が短ければよい」というコロナ禍での心理が働いたのかもしれない。
昨年夏以降、首都圏の新築分譲マンションの市況は多くのエリアで回復し、好調に売れている。
その動きは、2021年に入っても変わらない。
一方で、インターネットサイトで、マンション関連のニュースは減っていった。「暴落」関連の記事を目にすることがなくなったし、「売れている」という記事も少ない。
大きな変化はなく、「そろそろマイホームを買おうかな」と思っていた人が、予定通りにマンションを購入する……そんな平穏な日常が戻り、ニュースネタになりにくいのだろう。
予測される上昇局面、早めの動くほうがよさそう
「平穏な日常」というのは、コロナ禍の今、なんとも魅力的に思える。それ自体は好ましい状況なのだが、一方で、気になることもある。
それは、順調にマンションが売れることで、緩やかな価格上昇が起きないか、ということ。実際、販売を継続している大規模マンションの中には、販売途中で価格水準を上げた事例も出ている。
このような状況になると、「マンション暴落」説にも効用があったのではないか、という気になる。一部に「暴落する」とか「値下がりする」という予測がでていることで、値上げに歯止めがかかっていたのでは、と思えるからだ。
今、「暴落」予測は勢いをなくし、「マンションは順調に売れている」ことが、多くの人に信じられるようになった。これは、値上がりが懸念される局面といえる。
コロナ禍で公的な支援金が大量に出された影響でインフレ懸念も出ており、それも新築分譲マンション価格を上げる要因になりかねない。
「今後、マンション市況は上昇局面に入るかもしれない」と覚悟しておくことも必要だろう。
つまり、そろそろマイホームを買おうと考えている人は早めに動くことが肝要。といっても、焦りは禁物。じっくり品定めして、「このマンションなら買ってもよい」という物件に出会ったら、躊躇せず決断する姿勢が大切なのである。
2021年の春から夏にかけて購入可能なマンションのなかから、狙い目と評価される新築マンションを私の視点からピックアップした。
東京都23区の狙い目新築マンション
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年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目である新築マンションも紹介。マンション購入のアドバイスとする。
住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴
1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
オフィシャルサイト
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