いよいよ半年を切った「東京五輪」。
その後の市況を見据えて、買って後悔しない新築マンションとは
住宅ジャーナリスト櫻井幸雄
首都圏の新築マンション価格に関しては「東京五輪まで上がって、その後、大きく下がる」と言い続けられてきた。が、東京五輪まで1年を切った昨年秋にでも暴落の前兆がまったくないので、その意見は勢いを失った。
といっても、いま東京五輪まで半年を切る時期になったが、「東京五輪後に下がる」意見が消えたわけではない。「マンション価格が下がる」という予測は、都心マンションの価格上昇が顕著になった2015年以降、ずっと出続けており、2017年には「暴落は秒読み」と書く経済誌もあった。
実際には暴落など起きなかったのは、ご存じのとおり。「秒読み」の後は、「五輪後に下がる」という意見が多くなったので、「マンション価格が下がる」は人気予測なのかもしれない。
その背景には、「マンション価格が下がって欲しい」という願いがあるのだろう。現在のように、都心マンションを中心に値上がりするマンションが多くなると、「下がって欲しい」と願う人も多くなる。それは、当然だ。
しかし、「もし、下がったら、絶対に買うぞ」と考えている人が多い物件、たとえば港区南青山とか千代田区三番町など都心一等地とよばれる場所の物件は下がることがない。
「購入したい」と考えている人が多い場所のマンションは値崩れしにくいのだ。
郊外や地方都市で、割安なマンションに熱い視線
一方、郊外で、駅から歩いて10分以上というようなマンションは、購入したいという人が少ないので、逆に値上がりがしにくい。「都心マンションを中心に値上がり事例が多い」なかで、これまで割安な価格を維持してきた。
今、心配されるのは、このように、駅から離れている分、価格が手頃、というマンションが価格を上げ始めることだ。
東京五輪後も高値を維持する都心マンションの中には、逆に値上がりするケースも出てきた……そんな状況が生まれると、多くの人が、まだ割安なマンションに目を向ける。都心でも目立たない場所のマンション、郊外で、駅から少し離れたマンション、そして、地方都市の中心地に建つマンションなどだ。
そうなりそうな予兆もある。
というのも、郊外で駅から徒歩10分以上のマンションや地方都市のマンションに購入者が増え、好調に売れている物件が出始めたからだ。一部マンションが価格上昇するため、目先を変える人が増えてきたのだろう。
今、都心でも郊外でも、地方都市でも内容がよく、価格に納得感のあるマンションはまだある。それを探すことが、マンション購入で失敗しないための姿勢となる。
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住まいサーフィンレポートとは?
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年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。
住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴
1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇オフィシャルサイト:
http://www.sakurai-yukio.com