住まいサーフィンレポート2019年秋-冬期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&新築狙い目マンション 住まいサーフィンレポート2019年秋-冬期 住宅ジャーナリスト櫻井幸雄が見たマンション市況&新築狙い目マンション

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広く認められるようになった「東京五輪」の後も値下がりなし。
今、狙うべき新築マンションは……

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄

 昨年まで、首都圏・新築分譲マンションの販売価格は、「2020年東京五輪まで上がって、その後、大きく下がる」と言われてきた。その「五輪後暴落論」が、今年の夏以降、急速にしぼんできた。

 秋になると、「五輪後にマンション価格は、さらに大きく上昇する」という記事まで出てきた。ずいぶん大きく予想が変わったものだ。

 意見が変わった理由は、東京五輪まで1年を切る時期になっても、暴落の前兆もでなかったことにありそうだ。「高くなりすぎたマンション価格が暴落するなら、ここに至るまでに多少は下がってもよいはず。それが少しも下がらないのだから、従来と異なる不動産市況が起こっているのだろう」と多くの人が考えるようになったわけだ。

 私は、2015年10月1日に新聞社のニュースサイトで「東京五輪後も都心の不動産価格は下がらない」という記事を出して以降、ずっと「暴落は起きない」派で、「過去、五輪を開いた国で五輪まで不動産価格が上がり、五輪後に大きく下がったという国はない」という事実もいくつかのニュースで報告している。

 その事実を認めていただけたのか、夏以降、同じ意見の人が増えた心強さを感じている。

 しかし、ちょっと遅かったかもしれない。

 

 遅かったかもしれない、と思うのは「東京五輪後に下がる」という予測を信じたため、購入の好機を逃した人がいることを残念に思っているからだ。実際、値上がりし続けるマンションを見て、「あのとき、買っておけば」と悔しがっている人は多い。

 これまで4年ほど多くの専門家が「五輪後に大きく下がる」と言い続けたのだから、「東京五輪が終わるまで待っていよう」と考える人が増えたとしても仕方がない。

 とはいっても、都心の高額マンションを購入できる富裕層や、投資目的でマンションを買う人たちの多くは「五輪後に下がる」説を信じていなかった。「下がるといわれるけど、そんなことはないんじゃないかなあ」と半信半疑で、割安なマンションを探していた、というのが実情。「これなら、買っても損はない」と感じた新築マンションは、迷いなく購入していた。

 対して、「五輪が終わるまで、購入を控えよう」と決めてしまったのは、都心から離れた場所のマンション購入者に多かった。だから、郊外や地方都市では、3LDKが3000万円台、4000万円台で購入できるマンションがずっと販売され続けた。

 それら、郊外で割安価格のマンションは数が少なくなったものの、今なら、まだ購入可能だ。

 東京五輪後、都心部の高額マンションが値下がりしなければ、割安な郊外マンションへの注目度が高まるだろう。都心や準都心部で、納得価格で販売されているマンションも掘り起こされて短期間に売れてしまう可能性がある。

 一部マスコミが騒ぐように「東京五輪後に、さらに値上がりする」可能性があるのなら、今はまだ「値上がり前」といえる。

 この時期、都心でも郊外でも、地方都市でも納得感のある価格設定のマンションを探すこと、それが今、マンション購入で成功する秘訣となる。

2019年の秋から冬にかけて購入可能なマンションのなかから、狙い目と評価される新築マンションを私の視点からピックアップした。

東京都23区の狙い目新築マンション

  • グランドヒルズ南青山(東京都港区)

    住友不動産

    一般的に、都心の住宅立地で最上位とされている港区の「麻布・赤坂・青山」であるが、そのなかでも、とりわけ青山の南青山アドレスは最上位といわれてきた。私もマンション立地の最高位だと考えているのは、千代田区の番町エリアと、やはり港区の南青山エリアだ。その南青山アドレスで.........

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  • リビオレゾン新虎通り(東京都港区)

    日鉄興和不動産

    「リビオレゾン新虎通り」は、注目すべき立地のマンションである。そのことを説明するためには、50年以上の前のことから説明しなければならない。50年以上まえの前回東京五輪(1964年)において、五輪を機に一躍人気スポットになった場所があった。じつは、それ、表参道なのである。.........

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  • シティタワー恵比寿(東京都渋谷区)

    住友不動産

    「シティタワー恵比寿」は、2019年3月に竣工。建物内にモデルルームが設置され、実際の建物と実際の眺望、日当たりなどを確認して購入を検討できるマンションだ。同時に、JR山手線内でいまや希少になりつつある所有権分譲の大規模超高層マンションの一つでもある。現在、山手線内側に位置する純粋な都心部では.........

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  • 千住ザ・タワー(東京都足立区)

    三菱地所レジデンス、三菱倉庫、杉本興業

    東京メトロ日比谷線・千代田線、JR常磐線など5路線が利用できる北千住駅から徒歩3分となる「千住ザ・タワー」で、最終期(第4期)の販売が11月1日から始まっている。今年春から販売が始まった同マンションは全184戸に対して5000件を超える資料請求が来るなど好調に販売を続け、販売開始から.........

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  • シティタワーズ東京ベイ(東京都江東区)

    住友不動産

    「シティタワーズ東京ベイ」の建物が完成し、実際の住戸を見て購入を検討できるようになった。これは、音や日当たり、眺望を確認し、納得の上で購入できることを意味する。これ以上確実な新築マンションの購入方法はないだろう。ただし、実物を見て、購入を検討できる時期は、そんなに長くない。実際の建物を.........

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  • シティハウス下目黒(東京都目黒区)

    住友不動産

    マンションで「超高層マンション」の対局にあるのが「低層マンション」だろう。地上4階建て程度までのものが「低層」と呼ばれるマンションの基準だ。この低層マンションは根強い人気がある。というより、住みよさや安心感を第一に考えれば、低層マンションこそが、集合住宅の王道ということができる。欧米でも.........

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  • シティテラス金町(東京都葛飾区)

    住友不動産

    東京五輪まで残り1年を切った現在、「五輪後にマンション価格が下がる」という予測を信じる人が減ってきた。もし、下がるなら、すでに前兆がでてもよい。それがないので、下がることは考えにくい。それどころか、さらに上がるかもしれない。そんな考えから「五輪後に下がらないのでは」と思うようになったわけだ.........

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神奈川県の狙い目新築マンション

  • イニシア横浜桜木町(神奈川県横浜市)

    コスモスイニシア

    住みたい街として人気が高い横浜。しかし、横浜駅周辺エリアでは新規分譲マンションが減っている。特に、みなとみらい21地区では、計画された居住人口1万人に達したので、もう新たなマンションは建設できないという特殊事情もある。そのため、現在は、みなとみらい21地区を取り巻くエリアに注目がシフト。2017年には.........

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  • ライオンズ長津田グランリーフ(神奈川県横浜市)

    大京

    「ライオンズ長津田グランリーフ」は、全64戸のマンション。しかし、小規模だからと言ってスルーするのは惜しい新築マンションだ。理由は、建物の質がびっくりするくらい高いから。それでいて、3LDKが3900万円台からの価格設定。この価格設定を聞いて二度びっくりしてしまった。プロ好みのマンションと.........

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埼玉県の狙い目新築マンション

  • グローリオレジデンス浦和元町(埼玉県さいたま市)

    セコムホームライフ

    JRの浦和駅周辺では新築マンション価格が上昇。「70㎡3LDKが7000万円台」という水準となってしまったと思ったら、今は新築物件が減少。買いたくても買えない状況となり、にわかに注目度が高まっているのが浦和の隣駅・北浦和駅エリアだ。そのJR京浜東北線北浦和駅周辺で、地元の人から注目されているのが.........

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  • ウィルローズ鳩ヶ谷エディオ(埼玉県川口市)

    グローバル・エルシード

    今、首都圏で新築マンションの分譲価格が最も抑えられている場所と考えられるのが、埼玉高速鉄道・東京メトロ南北線の沿線エリア。その沿線で新規分譲が始まったばかりのマンションが「ウィルローズ鳩ヶ谷エディオ」だ。建設地は埼玉県川口市で、鳩ヶ谷駅から徒歩6分。その分譲価格は南向き3LDKが2600万円台から.........

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千葉県の狙い目新築マンション

  • リビオ柏の葉キャンパス(千葉県柏市)

    日鉄興和不動産

    つくばエクスプレス沿線で、2019年秋、第1期販売が即日完売となったマンションがある。柏の葉キャンパス駅を最寄りとする「リビオ柏の葉キャンパス」だ。同マンション第1期即日完売した理由として、まず考えられるのが、立地が魅力的であること。柏の葉キャンパス駅から徒歩4分であり、大型商業施設の「ららぽーと柏の葉」.........

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  • リビオシティ船橋高根台(千葉県船橋市)

    日鉄興和不動産

    首都圏全域で、「駅近マンション」の人気が高まっている。駅から徒歩5分以内のマンションであれば、通勤・通学に便利であるだけでなく、資産価値も落ちにくい。将来、中古で売り出すと、購入時と変わらない価格で成約し、場合によっては買ったときよりも値上がりすることもある。そして、賃貸に出しても、高い家賃で.........

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石川県の狙い目新築マンション

  • プレサンス ロジェ 金沢 香林坊(石川県金沢市)

    プレサンスコーポレーション

    東京や大阪の中心地で不動産価格が大きく上昇し、高止まりしている現在、地方都市の中心部への関心が高まっている。そのことを示すように、地方での地価上昇が顕著だ。 2019年3月に発表された地価公示、7月に発表された路線価、そして9月に発表された基準地価はいずれも、「地方でも地価が上昇している」ことを大きく取り上げた.........

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住まいサーフィンレポートとは?

実際に販売センターを見て回り、マンションの「今」情報を提供
年間200件以上のマンション、建売住宅を見て回る住宅ジャーナリスト櫻井幸雄。実際に歩き、目で見て、耳で聞き集めた情報には、数字の解析だけでは分からない「生々しさ」があふれている。
この新鮮情報を「住まいサーフィン・レポート」としてまとめて主要マスコミに配布。あわせて、住まいサーフィン上でも公開する。住まいサーフィン上ではレポートとともに、旬の狙い目物件も紹介。マンション購入のアドバイスとする。

櫻井幸雄

住宅ジャーナリスト櫻井幸雄の経歴

1954年生まれ。1984年から週刊住宅情報の記者となり、99年に「誠実な家を買え」を大村書店から出版。
以後、「マンション管理基本の基本」(宝島社新書)、「妻と夫のマンション学」(週刊住宅新聞社)、「儲かるリフォーム」(小学館)などを出版。
最新刊は「知らなきゃ損する!21世紀マンションの新常識」(講談社刊)。
テレビ朝日「スーパーモーニング」の人気コーナー「不公平公務員宿舎シリーズ」で住宅鑑定人としてレギュラー出演するほか、「毎日新聞」で、住宅コラムを連載中。「週刊ダイヤモンド」「週刊文春」でも定期的に住宅記事を執筆している。
◇オフィシャルサイト: http://www.sakurai-yukio.com