神奈川県横浜市栄区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
横浜市南部の歴史あるエリア「さかえ」には、緑豊かな自然が残る
横浜市栄区は横浜市の南部に位置し、総面積は18.55平方キロメートル、市内18区で2番目に小さな区である。東西に長く、東西約7km、南北約6kmの区域となる。東は金沢区、磯子区、西は戸塚区、南は鎌倉市、北は港南区に接している。また、鎌倉、江ノ島、逗子などに近接しており、横須賀線や湘南モノレール、横浜横須賀道路などを利用して、湘南の海浜に出かけることができる。
横浜市・栄区のマンション
2018年、神奈川県・横浜市栄区で販売された新築分譲マンションは339戸で、相場価格は不明。中古マンション相場価格は2030万円~4620万円だった。
2019年1月現在、横浜市栄区の人口は、12万1108人。総世帯数は5万5389世帯だ。栄区の高齢化率、つまり65歳以上の老年人口の割合は、24.9%(平成24年3月現在)と横浜市で最も高く、高齢化が進んでいる。一方で合計特殊出生率は1.26%(平成22年)と市で6番目に低く、少子化も同時に進んでいる。
歴史ある区域は緑被率が高く、市の緑の7大拠点のひとつ
栄区のある地域の歴史は横浜市内でも古く、鎌倉市に接していることから、鎌倉時代には、ときの幕府の軍事政策・鎌倉防衛のうえで重要な役割を果たしていたと推測される。そのため同区内には数多くの史跡が残されており、古来より鎌倉エリアとゆかりの深い地域だ。
また、同区は、緑被率(区の面積に対する緑地の割合)は41.8%と高く、2009年(平成21年)度調査によると、横浜18区のなかで第2位となっている。とくに、区東部には大規模で良好な自然が残り、市の緑の7大拠点のひとつとなっている。また、区を東西に流れる「いたち川」は、自然環境に配慮した河川改修が行なわれ、多くの住民の憩いの場となっている。
1938年(昭和13年)、小菅ケ谷に第一海軍燃料廠が設置されると、付近に軍関連施設が次々に設けられ、軍用道路として原宿六浦線(現在の環状4号線)が開通し、柏尾川沿いに大規模な工場の進出が相次いだ。
1939年(昭和14年)に鎌倉郡から横浜市へ編入され戸塚区となり、1949年(昭和24年)に本郷出張所が設置された。
戦後、アメリカ軍施設の返還で大規模開発が進む
戦後、軍の施設の大部分はアメリカ軍に接収、大船PXとなり区域の発展の大きな障害となったが、1965年以降に接収解除、ならびに払い下げが実現し、公共施設、学校、中高層住宅などに変貌する。1973年(昭和48年)、当時国鉄(現在のJR)根岸線全線開通にともない本郷台駅が開業、同区の中心駅となり、現在のような街並みが形成された。
丘陵部では、1960年代から大規模な宅地開発が行なわれ、谷戸が連なる里山は戸建てを中心とした住宅街となっていった。こうした大規模宅地開発により人口が急増し、1986年(昭和61年)11月3日、戸塚区から分区して、栄区が誕生した。2016年、栄区は区制30年を迎えた。
同区の商業地は本郷台駅と大船駅周辺に集中しており、区役所や警察署など官公庁は本郷台駅周辺に集中する。南側の鎌倉市と接する部分にある大船の繁華街は横浜市栄区と鎌倉市の双方にまたがっており、大船駅のプラットホームも横浜市栄区と鎌倉市の双方にある。
区の玄関口である本郷台駅、大船駅から横浜駅まで、東海道線または根岸線を利用して所要時間20~30分、東京駅まではおよそ40km・約50分と、首都圏の通勤圏にある。
著:吉田 恒道(公開日:2019.12.26)