神奈川県足柄上郡開成町の特徴
― ニッポンの自治体 ―
神奈川県内随一の人口増加率で、住宅都市として急成長する自治体
神奈川県足柄上郡開成町は、神奈川県の西部、足柄上地域の中央部に位置し、酒匂川を境界に北から東にかけて山北町、松田町、大井町に接し、西は箱根外輪山を背にする南足柄市に、南は相模湾を望み、小田原市に接する。酒匂川流域に形成された扇状地であるため、なだらかに南傾した平坦地で、水利は良好、気候も温暖だ。
東西1.7km、南北3.8kmで総面積6.55平方キロメートルと神奈川でいちばん小さな町だが、交通の便に恵まれ、恵まれた自然環境と高い利便性を兼ね備えた、子育て世代にとっても暮らしやすいエリアだ。
神奈川県・足柄上郡開成町のマンション
2018年、神奈川県・足柄上郡開成町で販売された中古マンション相場価格は、2100万円~2730万円だった。
2019年1月現在の人口は、1万7744人。総世帯数は7034世帯である。
2005年(平成17年)から2010年(平成22年)にかけての人口増加率は県内市町村第1位。2011年(平成23年)~2015年(平成27年も)県内市町村第1位。2011年(平成23年)の合計特殊出生率は1.62で、全国的に見てもかなり高い水準となっている。
また、地理的にもすぐ近くの東名高速道路「大井松田IC」を利用すれば東京から1時間半程度の距離、小田急線で「新宿」駅にもダイレクトにアクセスできる。観光地「箱根」「伊豆」へも1時間程度でアクセスできる。
明治時代に開校した小学校の名称から生まれた街
昔から開成町一帯は「西郡四万石」といわれ農耕の盛んな地域だった。たび重なる酒匂川の氾濫の影響からか、自然と高いところに人が住みついて村落が形成されてきたようで、町の地名には「島・岡・台」といった高い場所を表す文字が多く使われている。
1882年(明治15年)、当時の延沢村に開成学校が開設され、その後、1901年(明治34年)に酒田村・吉田島村両組合立の開成小学校となった。町の名称は、この小学校の名からとったもの。もともとは「学問、知識を開発し、世のため成すべき務めを成さしめる」という意味の古い中国の言葉「開物成務」が起源である。
1985年、悲願だった小田急「開成駅」開業
鉄道駅は小田急小田原線「開成駅」があり、準急と一部急行、各駅停車の停車駅だ。開業は1985年だった。それまで同町内には鉄道の駅はなかった。小田急線が通る市区町村で唯一駅がなかったのが開成町であった。そのため、開成町と町民たちは小田急への要望を重ね、小田急68番目の駅として開設された。現在1日の乗降客数は1万1000人ほど。
2001年(平成13年)から東口の開成駅第二公園に、地域住民から「ロンちゃん」という愛称で呼ばれている小田急ロマンスカー3100形NSE車3181号が展示保存されている。車内公開日は開成町の公式サイトで告知される。
駅周辺の区画整理が終了し、大規模マンションなどの建設か進む
駅開業当時の開成駅周辺には空き地が目立っていたが、2000年以降、小田急電鉄の主導で商業施設やマンションなどの建設が進んだ。2014年には、駅周辺の26ヘクタールにおいて区画整理が終了。ここで、若い子育て世代のためのマンションなどの建設が計画され、同町でも、子育て支援のための施策をさらに充実させていくとしている。
具体的には、2016年(平成28年)4月、「開成」駅東口にできる新しい「ぷらっと・かいせい」に、「子育て支援センター」(町内で2施設目)を作り、これにプラスして、「ファミリーサポートセンター」も併設した。
企業誘致を積極化した町内には富士フイルム関連施設が多く、富士フイルム医薬品・ヘルスケア研究所、同先端コア技術研究所やアドバンストマーキング研究所が立地する精密化学系研究都市としての側面を持つ。開成駅前より富士フイルムの研究所・開発センター行の送迎バスが、箱根登山バスによって委託運行されている。
また、スコッティやクリネックスで有名な日本製紙クレシアの工場も立地する街だ。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.06)