大阪府堺市西区の特徴
― ニッポンの自治体 ―
戦前から開発された良好な住宅地は、マンションなど住宅供給が活発な街
堺市西区は、西部が大阪湾に面し、堺泉北港、浜寺公園と泉北臨海緑地に挟まれた浜寺水路、石津川や百済川等の河川、鶴田池や万崎池等の多数のため池など、多様な水辺空間がある自然豊かな行政区だ。
区域北部の市街地にはため池を利用した公園等が整備され、水と親しめる空間が創出されている。
浜寺水路 また、「大阪みどりの百選」に選ばれた浜寺公園や、世界文化遺産登録を標榜する巨大前方後円墳・履中天皇陵古墳や多数の寺社の境内などにまとまった緑が残る。臨海部には、「みなと堺グリーンひろば」など「共生の森」として緑化が進められている。
大阪府・堺市西区のマンション
2018年に大阪府・堺市西区で販売された新築マンションは219戸で、相場価格は3544万円だった。中古マンション相場価格は1610万円~3360万円である。
堺市西区の人口は、2019年1月現在、13万8494人で、総世帯数は6万3160世帯。堺市7区のなかで南区に次いで2番目に大きな面積、28.62平方キロメートルである。
西区は分譲マンションや戸建て住宅などの供給が活発な地域だ。戦前から開発された良好な住宅地域、計画的に整備された低層の住宅や中高層の公的住宅が立地する地域など、 さまざまな形態の住環境が整う。
住宅都市でありながら歴史文化遺産が残る街
西区は、四ツ池遺跡などが残っていることでも分かるように縄文・弥生時代にすでに大集落ができ、履中天皇陵古墳、文珠塚古墳などの遺跡のほか、多くの由緒ある神社など歴史文化資源が数多く存在する。
1998年(平成10年)、国の登録有形文化財となった南海本線浜寺公園駅、諏訪ノ森駅西駅舎など、歴史的建造物も残っている。
また、西区内各地では、だんじり祭りをはじめとして、石津太神社のとんど祭り(火祭)「やっさいほっさい」や大鳥神社の「にいび」など伝統行事が盛んに行なわれている。
1878年の郡区町村編成法によって、現在の西区は大鳥郡に含まれた。同区域が堺市に編入となったのは、1942年(昭和17年)、2006年の堺市、政令指定都市移行にともなって西区が設置された。
海岸線に沿ってふたつの歴史街道である紀州街道、熊野街道(小栗街道)が区域内を通り、街道沿いには北畠顕家の墓所と伝わる「ゆかりの地」などの旧蹟や、歴史的な街並みを残している場所もある。
南海本線とJR阪和線の各駅周辺に住宅地が広がる
前述の歴史街道に並行して走る南海本線とJR阪和線の各駅を中心に住宅地が広がっている。西区の浜寺昭和と諏訪ノ森は、邸宅や別荘が建ち並ぶ高級住宅地であり、かつては海浜リゾート地だった。商業地区として中心となるのは、区役所があるJR阪和線鳳駅周辺となる。
また、冒頭で記した臨海部の約34haの「みなと堺グリーンひろば」には、野球場や運動ひろば、芝生ひろばなどがあり、海風の中、レクリエーション広場として親しまれている。また、北側では、「共生の森」として緑化が進められている。
西区西部は大阪湾に面しており、その臨海地区には、堺泉北臨海工業地帯を中心に重化学工業など大規模な工場が集積する。現在、新エネルギー開発の拠点でもあり、木質系バイオマスから燃料用エタノールを製造する「バイオエタノール・ジャパン・関西」や関西電力のメガソーラー「堺太陽光発電所」などが立地する。
著:吉田 恒道(公開日:2020.01.06)